変わらない景色

ちょうど一年前の今ごろ、私の家の工事が始まりました。
この土地には、建てる前から何度も足を運びました。
朝の光の入り方。 夕方、山の稜線に日が落ちていく時間。 雨の日の、少しけむった田んぼの色。
時間や季節を変えて、同じ場所に立って、同じ景色を眺めていました。
これまで八回以上、引っ越しをしてきました。 住む場所を選ぶことには慣れているつもりでしたが、 「ここに建てる」と決めるのは、やっぱり特別なことでした。
私の家は、建築面積9坪、延床18坪のWAVE18スキップフロアの家です。 大工さんがいくつもアイデアを出してくれて、 小さいなりに、私らしい居場所になりました。
住みはじめて、八か月になります。
暮らしてみて、いちばんに感じるのは、とにかく明るいこと。
朝、東の空から差しこむ光が、 あたたかな日差しと一緒に、部屋の奥まで入ってきます。 一日のはじまりの、この感じが好きです。

夕方になると、西日がセカンドリビングを赤く照らします。 光を受けた家具や柱や梁が、影の放物線を描いていく。 ただそれを眺めているだけで、楽しい時間です。
洗面の高いところにある横長のFIX窓。 そこからやわらかく降りてくる光も、好きな場所のひとつです。

9坪の暮らしで変わったこと。 まず、掃除がとにかく楽になりました。
それから、新しいものを迎え入れるときに、立ち止まって考えるようになりました。
これは、本当に必要だろうか。 今あるものは、本当に必要だろうか。
場所が限られているからこそ、 ひとつひとつのものと、ちゃんと向き合うようになった気がします。
そして、今。
今朝、リビングの前のデッキに出ると、 雨上がりの床板に、空と手すりが映っていました。

その向こうには、建てる前に何度も足を運んで眺めた、あの景色。 山あいの段々な田んぼが、今も変わらずそこにあります。

季節がめぐるたびに、田んぼは色を変えていきます。 けれど、そこにある景色は変わらない。
毎日のように眺めているのに、 不思議と、見飽きることがありません。
ここに建ててよかった。 窓の外を見るたびに、そう思います。
土地を探しているときは、 朝と夕方、晴れの日と雨の日に、何度か足を運んでみてください。
その場所で過ごす毎日が、 少しだけ、先に見えてくるかもしれません。
